営業の仕事をしていましたと言うと、
なぜかほぼ「営業の仕事って大変ですよね」と言われます。
実際に私は営業という仕事は技術職のひとつだと思っていますし、
非常にやりがいのある仕事だと思っています。
また時間なども自分の裁量で動けるところも多いので好きですし、
大変ですよねと声をかけてくださるのは営業職を経験したことがない人が
ほとんどのように感じます。
では、なんで営業は大変と言われるのかという理由と、
営業職を続けられる理由を実経験にもとづいてまとめてみました。
これから営業をやってみようかな、営業って未経験でもできるのかな、
やっぱり想像している通りキツい仕事なのかな
そんな風に心配に思っている方も参考にしてみてください。
“営業は大変“ はイメージが悪いから?
営業マンというと、どんなイメージがありますか、
たとえば
毎日毎日数字に追われ、月末となるとお客さん先で
「今月厳しいので何とか入れてもらえませんか」
「そこを何とかお願いしますよ」とペコペコお願いをしていたり
取引先の社長の機嫌をとるために、手をコネコネしながら、
「さすがですね、すごいですね」とゴマをすっていたり。
お客さんにいつでも呼び出されてはクレームを言われたり、
会社にはホワイトボードに売り上げのグラフが張られていて
売れない人は公開処刑をされていたり、など。
私はこんなイメージがありました。笑
同じように、営業がまるで下っ端の弱い
情けないキャラであるようなイメージが
大変ねという同情じみた印象を与えるのだと思います。
それと同時に、私はそうはなりたくないなと決めて営業職につきました。
なので、信念にしていたことがあります。
それは、
「媚(こび)と油は売らない、売るのは自分と商品だけ」ということです。
もちろん、自分を売るというのは評価してもらうの意味です。
そして油を売るというのは耳慣れない人もいるかもしれませんが、
これは江戸時代に部屋の明かりの燃料などに使われていた油を
商人が売って回っていたときに、
当時の油は粘度が高く、ねっとりしていたので
お客さんの枡(ます)のなかに油を注ぐのに時間がかかり、
その間雑談をしていたそうです。
そこから、「油を売る」という言葉が
仕事中に無駄話をしたりサボる様子をあらわすようになったと言われています。
わたしは、最初から媚を売らないと決めていたので、
(いつの時代だと笑われるかもしれませんが)
新卒の同期が「最初のお客さんになってください」などと泣き落としで
成約をとっていたときでも同じことはしませんでした。
トップになる自分を想像しながら模索して営業していたので、
初めての契約となる初売りを出すのが同期の中で一番遅かったですが、
3年後には3倍の売り上げをあげるまでになりました。
また営業とお客さんは対等だと思っています。
中には“営業は客の言うことを聞くべき”というような姿勢でお話される方がいらっしゃいます。
こんなことがありました、
わたしが営業プレゼンソフトを扱っていたときに、
「実際に集客して、それでうちが販売につながったら買うよ、最初は使い方も
分からないから、一緒にうちの内覧会に参加して代わりにお客さんにプレゼンしてくれよ」
というのです。
わたしは
「生意気なことを言って申し訳ございませんが、他のお客様にはそういった
駆け引きはなしにご購入いただいていますし、
私もそんな暇はございません、また購入するご決断をされたらご連絡ください、
その際に改めてサポートさせて頂くか検討させて頂きます」とお断りしました。
その後、お断りをしたその方の上司が謝罪に来られ、
「定価で良いので売って頂けないでしょうか」と言われました。
もし、営業が立場的に弱く大変な目にあうというイメージをお持ちで
踏み出せない方がいれば、
ぜひプライドをもってチャレンジしてみてくださいとお伝えします。
口下手は営業に向いていない?
これもイメージかもしれませんが、売れる営業というと、
口がうまい人と思う方も少なくありません。
どんな人でも言いくるめるような話術と説得力がないと
無理なのかなと思うかもしれませんが、全く心配いりません。
営業が必要なコミュニケーション力は3つだと思います。
①聴く力
商談において8割相手の話を聞くくらいに思っておくと良いです。
私も話すぎてしまったなと思ったときは、決まらないことも多いです。
人は話を聞いてもらったほうが、この人は自分のことを
分かってくれると信頼感を抱きやすくなります。
また、会話が弾む質問力についてはまた別で詳しくお伝えしますが
「なんで購入を検討したのか」「この先どうなりたいのか」
ということをヒアリングできていると、クロージングの時に活用できます。
いざ大きな金額の契約などとなると、どうしても躊躇してしまう人が
少なくありません。
そんなときに、共感しつつも
「でも、以前このようにおっしゃってましたよ」と
背中を押してあげることができます。
営業が話してばかりでは、相手にとっては的外れな内容になっていても
気づけなくなってしまいます。
②分かりやすい言葉で話す
営業の仕事は専門用語を並べて、知識をひけらかすことではありません。
自分は毎日扱っていて慣れているものでも、
お客様にとっては人生に何度もない買い物かもしれません。
たとえば、パソコンのCPUについて説明するときに、
パソコン初心者の方に
CPUとは Central Processing Unitの略で
日本語では「中央演算処理装置」と呼び、演算や制御の中心となるデバイスです。
なんて言っても伝わりにくいですよね。
代わりに、たとえば
CPUはプロの料理人のようなものです。
メモリーは厨房やまな板のような物なので、
小さすぎると料理人が作業しづらいです。
AとBを比べるとAは料理人が2人いるようなものなので
Bより倍くらい早く感じると思います。
こんな風にかみ砕いたほうが伝わりやすくないでしょうか。
むずかしい言葉を知っているほうが知的に思われるかな
などと思わずに
誰でも知っている言葉で説明できる人のほうが重宝されます。
③沈黙を恐れない
商談のときに、相手の方が黙ると不安がる人も多いです。
何かマズいこと言ったかな
説明足りないのかな
もっとメリットを言わなきゃ
こんな感じで不安になって、また話し出すのです。
でも、沈黙のときは考えたり、
整理したりしている時間のことが多いです。
その時に次から次に新しい情報を足しても、
ありがた迷惑です。
沈黙がおきても、しゃべる気持ちを堪えます。
1分くらい“間”があっても大丈夫です。
待っている間も平然としていると、余裕があるように見えます。
反対に、沈黙がおきる度にどんどん話す営業マンは
必死に言いくるめて契約を急がせようとしているように
映ってしまします。
間をおいてから、何かご不安なことはありますか?などと
質問すると、一緒に整理できたりします。
でも、どうしたら沈黙を我慢できますか?と
聞かれることもあります。
その秘訣は、慣れです。
と答えたいのですが、慣れるまでがしんどいですよね。
そんな時の考え方ですが、
あなたが沈黙がつらいように相手も沈黙が嫌なのです。
お互いに嫌なら早く解消したほうが良いのではと思うかもしれませんが、
そこはグっとこらえてください。
理由は、
沈黙が嫌になったときに相手から出てくる言葉は
“本音”のことが多いからです。
たとえば、車の展示場に来られるお客さんの場合。
最初は売り込まれるのが嫌で
「最近どんな車種があるのか見たくて」と
ざっくりしたことしか言わないかもしれません。
でも、営業が売り込んでこないと、
もっと情報を言ってくださるようになるのです。
“実は”半年後に子供が産まれるので、もう少し大きな
車にしようかと思ってるんです
といったような具合です。
あるいは、こんなケースもあります。法人営業の場合。
“実は”すぐの購入じゃなくて来年度の予算に組み込みたいと
思っているんだ。
この本音を聞く前に、今すぐ買うメリットなどを喋り続けてしまうと
めんどくさい営業だと思われてしまうのです。
なので、話すのが上手くなるよりも、聞くのが上手くなるほうが
営業には大切なので、
口下手なことは心配しなくて大丈夫です。
いかがでしたでしょうか、
営業ってこき使われそうだし、口上手くないとできない
こんなイメージから営業は大変そうと諦めるのは早すぎるかもしれません。
実際に売れている営業はとても力や魅力がありますし、
しっかりとヒアリングしてお客様との関係を築き
自分の提案がうまく伝わったときは、とても嬉しく感じるものです。
それが数字としても分かりやすく実感することもできます。
もともと私も口下手でしたし、今も口が上手いとは思っていません。
営業未経験からでも売れるようになった方法については、
別の記事でも紹介しているので、参考にしてみてください。
⇒営業未経験でも売れる営業になれたコツ